台所の片隅で、芽が出てしおれ、薄っすらと緑色に変色してしまった
可哀そうなじゃがいもを発見した時の虚しさは、
誰もが一度や二度は味わっているのではないでしょうか?
カレーやシチューの具として欠かせないじゃがいも。
煮込み料理はもちろん、フライドポテトとして油で揚げたり、
ジャーマンポテトなどの炒め料理でも、ホクホクとした食感が楽しめ、
心もお腹も満たされる食材の一つです。
じゃがいもは、子どもから大人まで大人気のコロッケや
おふくろの味の肉じゃが、これからの寒い季節にはぴったりの
おでんやお鍋の変わり種としても幅広く使えます。
世界の多くの国で、じゃがいもが主食として消費されているように、
日本でも多くの家庭で常備野菜の一つとして
いつもじゃがいもが台所にあるはずです。
そこで気になるのが、じゃがいもの保存方法と賞味期限です。
じゃがいもには長期保存できるイメージがありますが、
それはなぜなのでしょうか。
生鮮野菜とは違うじゃがいもは、保存の仕方に工夫が必要?
というちょっとした疑問から、安売りでまとめ買いした大量のじゃがいもは、
いつまでに食べたらいいのかしら?という日常的な疑問まで、
この記事でお答えしていきます。
じゃがいもに賞味期限はあるの?
一言で言うと保管の仕方によって全然違います!
スーパーや八百屋でじゃがいもを買う時は、
大体5~10個入りの袋詰めのじゃがいもを手にすることがほとんどですよね。
大きさや形、色つや、芽が出ていないかどうかを確認し、
料理に適したじゃがいもの種類を選んで購入するのが普通です。
袋に賞味期限は書いてありませんし、
賞味期限を確認してじゃがいもを買うことは滅多にありませんよね。
そもそもじゃがいもは、加工食品じゃなくて生鮮食品なので
賞味期限の表示は義務付けられてはいないのです。
そんなじゃがいもにも、実のところ、賞味期限はあるの?
春から初夏に出荷される旬の新じゃがに加えて、
じゃがいもは3~4か月の短めのサイクルで収穫できるため、
年間を通して手に入りやすい野菜です。
じゃがいもは、収穫された後2~4か月は芽が出にくい休眠期間となります。
休眠期間は、じゃがいもの種類によっても違って、
じゃがいもの植物ホルモンの働きによるため、
強制的に延ばせる期間ではありません。
この休眠期間に、適切なじゃがいもの保管をしましょう!
なので、快適な保存環境であった場合には
じゃがいもの賞味期限は数か月に及ぶことも可能になります。
それでは、快適な保存環境とは、どんな点に気を付けるべきか見ていきましょう。
じゃがいもにとってベストな保存環境は?
土壌の奥深くの暗所で育ったじゃがいもは、暗くて湿気の少ない、
風通しの良い場所に保管するのが長持ちのコツです。
室温が7~15度前後という環境であれば、常温保存が一番適していると言えます。
覚えておきたいじゃがいもの天敵は、湿気と光です。
湿気が多いと、じゃがいもはすぐに腐ってしまいます。
身にハリがなく、触るとブヨブヨとして中身も黒ずんでしまった場合は、
潔く処分するしかありません。
そして、じゃがいもは日光に当たると、皮が緑色に変色したり、
発芽が促され、結果として味や品質も劣ってしまいます。
光の影響は、じゃがいもの劣化を進めるだけでなく、
ソラニンやチャコニンと呼ばれる毒性の強い有害物質が生成されるため、
多く摂取すると腹痛や下痢を引き起こします。
じゃがいもの表面を観察して、緑色に変色していたり、
芽が生えてきているものはその部分をきちんと取り除くか、
最悪の場合、食用を避けるのが賢明です。
じゃがいもは冷蔵庫で保存するべき?
冷蔵庫の温度は、一般的に4度以下となっています。
じゃがいもは、常に冷蔵庫に入れておく必要はありません。
しかし季節により、特に夏場の暑い時期には、
冷蔵庫の野菜室での保存が適しています。
その場合はじゃがいもが乾燥しないように新聞紙等で包んだ上で、
袋に入れる二重の保護がおすすめです。
冷蔵庫に入れるとじゃがいもの水分が徐々に抜けていき、風味が損なわれます。
数週間をめやすに、最長でも1か月の内に使い切るのが理想的です。
じゃがいもって冷凍できるの?
じゃがいもを、そのまま生で冷凍したことってありますか?
生のまま冷凍してしまうと、解凍する時に水分が抜けて
ブヨブヨの気味の悪い感触のじゃがいもになってしまいます。
じゃがいもは、生のままでの冷凍保存には向かない野菜なので、
冷凍する場合は調理済みのじゃがいもだけにしましょう。
まとめ買いして余ってしまったじゃがいもを腐らせる前に、
茹でてマッシュポテト状にして空気を抜いてから冷凍したり、
コロッケの下準備としてひき肉と混ぜ合わせてから形を整えて、
小分けにして冷凍するのがおすすめです。
冷凍することにより、調理済みのじゃがいもの鮮度を落とすことなく、
1か月は保存が可能になります。
じゃがいもの下準備が済んでいるので、料理時間の短縮にもなり、便利に利用できる方法です。
まとめ
安価で一年を通じて容易に入手できる、食べ慣れたじゃがいも。
普段使いの野菜としてあまり気にかけることも少ないですが、
些細なケアが鮮度を長持ちさせる鍵と言えます。
じゃがいもは、幅広い料理に使えて、でんぷん質の炭水化物で腹持ちも良く、
みかんと同程度のビタミンCも含まれる栄養価の高い野菜です。
日々の食生活の常備野菜として、賢く保存してじゃがいもを無駄なく、
そして美味しく活用しましょう。